古澤醸造の歴史
しみじみと 心にかよう 八重桜
1892(明治25)年5月、古澤貞市氏が個人で創業した古澤醸造。日南市大堂津の住宅街にひっそりとたたずんでいます。1955(昭和30)年9月に法人組織に変更し、現在に至ります。代表社員の古澤昌子さんが5代目杜氏を務めています。
県内で唯一、創業当時からの土蔵造りの醸造蔵で昔ながらの焼酎造りを継承しています。
代表銘柄「八重桜」は、芋の香りや味がしっかりと感じられる、お湯割りでおいしい焼酎。一日の疲れがとれ、ほっとする味わいだと地元の人たちに長年愛飲されています。
造りへのこだわり
頑固に守る手づくりの技
古澤醸造では5月から麦・米・そば焼酎を、10月から11月までは芋焼酎を仕込みます。創業当時からある麹室で麹蓋を使って麹造りを行います。小さな天窓を開けて室温を下げるなど、なるべく機械に頼らず自然と折り合いをつけながら麹を造ります。
気候・風土を生かして醸す
芋の処理はまず芋切りをしてから洗い、傷んでいる部分を除きます。蒸し上げた芋は、ベルトコンベヤーで流しながら匂いをかいでさらに傷んでいる部分がないかをチェック。徹底して芋の品質にはこだわります。
土壁でできた仕込み蔵は、調湿作用や一年を通して温度差が少ないというメリットがあります。土の中と同じ環境なので、甕も半分くらい埋め込んであれば大丈夫だそう。櫂入れや手入れなどの作業もしやすいと言います。
蒸留は常圧蒸留のみ。蒸留後は冬の寒さを利用して、浮いてきた油分をすくい取るろ過作業を行います。機械を使って冷却し、ろ過すると均一な酒質になりますが、古澤醸造はあくまでも自然ろ過を貫き、”その年の気候が反映された焼酎”を毎年醸し出しています。
日南ならでは飫肥杉の貯蔵蔵
2009(平成21)年に、60年ものの飫肥杉を使った貯蔵蔵を建てました。日南市の特産品でもある飫肥杉の良さをアピールしたいという思いもあったそうです。太陽の光は入るけれど、熱は入らないように扉や窓の位置なども考えて造られています。この飫肥杉の蔵と、もともとある土蔵造りの蔵で貯蔵・熟成させています。
昔は芋焼酎は、芋の香りがとばない新酒のうちに出荷するのが当たり前だったそうです。しかしある時、蔵の中に芋焼酎の失敗作が残ったままだったのですが、失敗作にしてはとても良い香りを放ち、味もびっくりするくらいおいしかったそう。それを機に、熟成に面白さや可能性を感じ、芋焼酎も熟成させるようになったそうです。
古澤醸造の焼酎
本物の古老の味
代表銘柄「八重桜」は、芋、麦、米、そばを展開しています。そのほか芋熟成焼酎「一壷春(いっこしゅん)」やジョイホワイトという芋が原料の「ひとり歩き」、麦熟成焼酎の「古澤」、日南土産「舟とくり」などを製造販売しています。また年末になると翌年の干支の焼き物に入った焼酎も販売。まろやかな味、さわやかな酔い心地を追求しており、お湯割りはもとよりどんな飲み方もおすすめです。
杜氏の想い、飲み人の想い
5代目杜氏の昌子さんが造った焼酎が、「八重桜 夢」と「YAEZAKURA -SEN-」。「夢」は、昌子さんが「いつかすべて地元で作られた原料で造りたい」と考えていたことから付けられた名前です。地元の農家に協力してもらい、その夢が実現しました。そこには、原料も地元で調達するのが当たり前だった時代を現代に受け継ぎたいという思いもあったそうです。
「-SEN-」は、昌子さんの友人から「焼酎は瓶が大きくて買うのが恥ずかしいし、バッグに入れて歩けない」と言われたことがきっかけで造った一本。名前には「八重桜」がさらに百年、千年と咲き続けられるようにという思いが込められています。冷やして飲むとおいしい焼酎が出来上がりました。容量も720mlと少なめで、瓶のデザインもおしゃれ。女性のための焼酎です。
さらにこの夏、「キュン!と冷やして飲む焼酎」をコンセプトにした、アルコール度数14度の焼酎を限定販売する予定だそうです。こちらも楽しみですね!
蔵人紹介
5代目杜氏・代表社員 古澤昌子さん
創業以来使い込まれてきた建物や道具、そして受け継がれてきた技を、これからも継承していきたいと考えています。時代とともに変化も必要ですが、芯はぶれないように焼酎と向き合っていきたいです。
南九州独自の焼酎文化が全国に広がった今こそ、多くの人に焼酎について”正しく”知ってもらいたいと思っています。ぜひ蔵に足を運んでいただき、日南の気候風土が醸し出す焼酎造りを五感で感じてください。
会社概要
会社名 | 古澤醸造合名会社 |
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住所 | 宮崎県日南市大堂津4-10-1 |
電話 | 0987-27-0005 |
FAX | 0987-27-1853 |
蔵見学 | 可(10人まで・事前予約) |
webサイト | http://www.nichinan-yaezakura.jp |