櫻の郷酒造の歴史
最新鋭の設備と体験型ミニブルワリー
緑豊かな山々に囲まれた、温泉と清流の町・日南市北郷町。櫻の郷酒造は1994(平成6)年、同市南郷町の井上酒造の関連会社として設立されました。井上酒造が長年培った製造技術を生かし、コンピューターを駆使した最新鋭の設備で、高品質の焼酎を安定的に造っています。
設立当時は麦焼酎を製造していましたが、2004(平成16)年には芋焼酎の製造ラインも新設し、現在では麦・芋・米の焼酎を製造しています。
併設している体験型ミニブルワリー「焼酎道場」は2001(平成13)年に完成。多くの人に本格焼酎の文化に触れてもらいたいという思いから、木造の酒蔵を再現し、伝統的な技術に基づいた酒造りの工程を公開しています。さらに焼酎造りに携わる人々の技術研修の場としても利用されています。
櫻の郷酒造の焼酎
全国トップクラスの貯蔵量
1997(平成9)年から甕による長期貯蔵・熟成をスタート。赤レンガ造りの3階建ての貯蔵庫には約5,000個もの甕がずらりと並んでいます。その様子はまさに圧巻。
甕は素焼きで、高さが1.2メートル、容量500リットルという大きさ。高温で造られた甕から出る遠赤外線は、焼酎の味をまろやかにする効果があると言われています。また甕の内側にある細かい穴の作用で焼酎が呼吸を繰り返し、熟成が促進されるのだそうです。
ここで3年以上にわたって貯蔵・熟成された代表銘柄の「無月(むげつ)」は、芳醇な香りと深いコクがあるまろやかな味わいです。
「無月」の名前は、中国の古典からとったものだそう。古来より月を愛でながら酒を飲むことは風情のあることである。しかし、本当に酒を愛飲するもの者は、「月」の「無」い時でもきれいな月を想像しながら、毎夜酒を楽しむのだそうです。中国の古典にこの事が「無月」と表現されています。この古典に基づき、さらに明るい未来を願って命名したのだそうです。
造りへのこだわり
機械+人間=安定した酒質と供給
櫻の郷酒造が設立された当時は、コンピューター制御による焼酎造りは非常に珍しかったのだそう。工場内を案内してもらうと、一つ一つの設備の大きさに驚かされます。麹の原料となる大量の米や麦を短時間で蒸し上げる蒸し機や麹を造る円盤型の製麹機、6万リットル貯蔵できるタンクなど、初めて目にするものばかり。温度管理などコンピューターで行っているのですが、決して機械任せではなく人間の感覚も大事にしながら調整しているのだそうです。
櫻の郷酒造が北郷町に設立された理由の一つが「水」。森林セラピー基地にも認定されている猪八重渓谷の伏流水を、仕込み水や割り水として使用しています。
体験型ミニブルワリー「焼酎道場」
伝統技術に触れ、継承するために
「焼酎道場」は、日南市特産の飫肥杉をふんだんに使って明治・大正時代の酒蔵を再現しています。一年を通して焼酎造りを行っており、その工程をガラス越しに見学することができます。麹づくりや甕仕込みの櫂入れなど、昔ながらの手作業での焼酎造りが行われており、焼酎に関するさまざまな知識を学ぶことができます。
実際に麹やもろみ造りを体験することができるほか(予約制/体験料無料)、数種類の焼酎を自分の好みの味にブレンドして造ることができるコーナーなどがあり、楽しく焼酎文化に触れることができます。
杜氏紹介
営業課長 寺田和弘氏
「近年、飲むことの楽しさを知らない若者が増えていると感じています。なので今後は焼酎のよさを蔵元からもっと発信していく必要があると思っています。それと同時に、飲む人たちに求められる焼酎を造っていくことも自分たちの大事な使命だと考えます」と寺田氏。「ぜひ焼酎道場に足を運んでいただき、造りの工程を見たり、体験したりしてください。体感していただくことで、家での晩酌やお店で飲むことがより一層楽しくなると思います」。
会社概要
会社名 | 櫻の郷酒造株式会社 |
---|---|
住所 | 宮崎県日南市北郷町郷之原甲888 |
電話 | 0987-55-4134 |
FAX | 0987-55-4283 |
蔵見学 | 20名まで可(団体は事前予約)、見学時間/9:00~16:00、見学日/年中無休(年末年始を除く)、入場無料・駐車場あり |
webサイト | https://www.sakuranosato.co.jp/ |